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豊かさが語る東北の魅力(報告書編)~「東北の豊かさ」の総合検証~

1. 住民意思と地域資産の統合

本調査において、ライフスタイル、東北の将来像といった「住民意思」を表す項目と「地域資産」が適合する態様で存在することが明らかになった。

したがって、「東北の豊かさ=住民意思×地域資産」という公式との関係からにおいても、「住民意思」を表す項目と「地域資産」を代表する項目との間には明確な論理的整合性があることが証明された。結論的にいえば、東北の住民は、それなりに豊かさを現に享受しており、そして無理なく歩み続ける中から、将来に期待するより豊かな東北が実現する条件(住民意思・地域資産)は整っているのである。

2. 委員報告にみる「東北の豊かさ」

各委員のテーマ報告の意義については、データによる解析だけでは説明しつくせない豊かさの本質を「ことば」で語ることにある。なぜなら、「東北の豊かさ」は、具体的な例証を示すことにより、初めて「一般性」をもってくるからである。委員報告の6例を見ただけでも「東北の豊かさ」が実感として十分に伝わってくるはずである。

3. 21世紀の国土利用における東北の役割

「豊かな東北」をつくることは、ひとり東北のためだけでなく、国内外に対して東北が貢献する道を開くことでもある。それを「東北の役割の豊かさ」として総括すれば、21世紀に望まれる豊かな国土の創造に向けて「豊かな東北」が担うべき役割ということができる。

東北が本調査で検証した「豊かさ」を目標とした地域づくりを進めるならば、心と伝統に支えられ、農山漁村的社会を基底とした地域として、東京圏や第一国土軸地域とは自ら異なる特性をもった国土軸の形成に参画することができ、多様な国土軸の形成に貢献することができる。

21世紀の日本列島が多様なタイプの国土軸で編成される中で、東北が目指すのは心の豊かさを楽しめる空間としての国土軸と考えられるし、東北がその期待に応える十分な資質を備えた地域であるといえよう。

報告書の頒布については、こちらを御覧ください。