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- 豊かさが語る東北の魅力(報告書編)~東北の人々が考える「東北の豊かさ」~
住民アンケート調査の目的は、東北の住民が東北をどのように意識し、また、東北の現状や将来についてどのような認識を持っているかという「地域住民意思」を把握することである。
1. 住みやすさ、暮らしやすさ~強い地域への愛着心~
東北の住民は、自らの地域に対し強い愛着心を持っており、大半が「東北に住みたい、東北で暮らしたい」と思っている。また、「東北以外の地域に住んだことのある人」に関しても、東北は住みやすく今後も住むつもりであるという回答が多くみられる。
このように、東北が住みやすく、暮らしやすいのは、東北の住民が志向するライフスタイルと、東北の自然的・社会的生活環境が調和的に合致しているためと類推される。
それは、東北の住民が「望まれるライフスタイル」として、心の豊かさ、ゆとりのある暮らし、自然とのふれあいに満ちた暮らし、近隣との人間関係を重視した暮らしを求めており、また「東北の地域特性」では、自然、生活に関する項目の評価が高いことから、この二つを照合すればそれらの具体的な裏付けが説明できるからである。
2. 未来豊かな将来像
東北の住民が描く将来像は、自然、農林漁業、地場・伝統産業を骨格としており、地域の風土や伝統の中に行き続けてきた農山漁村的・伝統的社会といっても過言ではあるまい。
21世紀社会に望ましいとされている地域文化を拠り所とした社会像が東北の住民によって当然のように選択されていることは、「役割の豊かさ」、換言すればそこの地域が認められ、そこの地域を誇りに思う気持ちが住民意思の中に存するということであり、それが全国から認知されることで正に「豊かな東北」となるのである。
3. 控えめな地域への自信と誇り
「東北の地域特性」で、祭り、名勝地、史跡などの人文に関する項目は自然や生活に比べて評価がやや低かった。特に、いずれの項目についても東北の評価が全国アンケートの評価を下回っており、ここに問題が内包されている。即ち、「東北の豊かさ」を考える上で今ひとつ物足りないのは、東北の人々が自らをあまり誇らず控えめだということである。
地域への自身や誇りは、地域の尺度でもって地域を見るところから生まれてくるのであり、これからは、自分の目で地域の価値を認識する努力と訓練が必要であろう。