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- 豊かさが語る東北の魅力(報告書編)~地域資産からみる東北の豊かさ」~
本調査では地域資源を、資源の持つ豊かさの価値に注目して地域資産として捉え、東北の地域資産がもつ特性を明らかにすることを目的としている。また、それにより、資産的特性が「東北の豊かさ」とどのように結びつくかを検討の主題としている。
1. 東北の地域資産
東北の地域資産を、形態別に「自然」「社会」「人文」の三つに分類・体系化して例示し、東北には膨大な分量で、しかも多種多様に豊かな地域資産が存在することを明らかにした。
2. 地域資産の機能から見る「東北の豊かさ」
資産形態により分類した地域資産を、その機能に着目して整理し、“東北のアイデンティティ”を確立するにふさわしいと考えられる下記の5項目の「豊かさの態様」を導きだした。
3. 東北の地域資産がもつ役割の豊かさ
機能面から集約した地域資産について、資産に期待される役割の観点から下記のように整理した。
1. 高齢社会に向けた役割
日本の高齢化は世界一進行しており、元気な高齢者の生きがいづくりが、今後大きな問題として発生してくると考えられる。そうした状況下、東北は、高齢者の観光・レクリエーションを満足させるに足る資産を有し、都会の雑踏を逃れて老後を自然と交わりながら過ごしたいという希望者に対し、そのための居住の場をいくらでも提供できる。
2. 青少年教育における役割
自然を離れて人間的な豊かさがないことに改めて気づいた日本人は、自然への志向を強めているが、この点は、最近頻繁に犯罪が報道されている青少年についてもそのまま当てはまる。そこで、東北の自然や農山漁村生活が大都市で育つ青少年のために果たせる教育的役割が出てくる。具体的には、農山漁村で自然と交わる体験学習などであり、一例として、森の中の宿泊学習施設をつくり、全国から青少年を呼び寄せることは、東北の地域資産に期待される大きな役割である。
3. 観光・レクリエーションにおける役割
21世紀は、心身の健康を求めて日常生活を離れた行動が活発化するといわれている。その典型が観光・レクリエーションであるが、東北の自然や人文資産は国内だけでなく、海外に向けても大きな魅力を発揮できる資質を持っている。そして、東北として力を注ぐべきなのが、冬期の観光・レクリエーションである。スキー場や冬期のイベントなど雪資源の活用は各地で既に進められているが、まだまだ開発の余地があり、それが進めば通年観光への期待も膨らんでくる。
4. 新しいライフスタイルの構築に向けた役割
新しいライフスタイルと通常いわれるものも、東北では農山漁村地帯に行けば今も日常生活として営まれている。都市生活者が“新しい”ライフスタイルに転換するには膨大な努力を必要とするが、東北のようにそれが残されている地域があることは大きな心の励みになるはずである。だからこそ、東北が“新しい”ライフスタイルの実現に向けた先導的役割を果たしていくべきである。
5. 食と食文化の宝庫としての役割
食料問題が世界的に見直されている現在、東北の持つ食料供給地域の役割はかつての位置付けとは異なったグローバルな意味での重要性を帯びてきている。それとともに東北にとって重要なことは、「食料」とともに食文化を含めた「食」の豊かさにおいて、物質と精神の両面から日本人の生活を支える役割があることである。